深夜まで働いた翌朝、十分な休息を取れないまま出勤する――こうした状況は、従業員の健康リスクを高めるだけでなく、企業の生産性にも悪影響を及ぼします。こうした課題を解決するために導入が進んでいるのが『
勤務間インターバル制度』です。
勤務終了から次の勤務開始まで一定の休息時間を確保するこの仕組みは、
過労防止や
ワークライフバランスの実現に直結します。
厚生労働省から努力義務とされており、弊社でもこの制度を導入しています。
勤務間インターバル制度とは、終業から次の始業までに
一定の休息時間(例:11時間など)を必ず確保する仕組みです。労働者の十分な生活時間や睡眠時間を確保し、安全と生産性を守ることを目的に導入されます。
日本でも働き方改革の一環として導入が促進され、企業には検討の
努力義務が課されています。業種や勤務形態に応じて柔軟に設計でき、交替制・夜勤を含む多様な現場で適用可能です。勤怠運用と連動させることで実効性が高まります。
勤務間インターバル制度の導入には、企業と従業員双方に多くのメリットがあります。まず、十分な休息時間を確保することで、過労や睡眠不足による健康リスクを軽減し、メンタルヘルスの改善にもつながります。疲労回復により集中力や業務効率が向上し、ミスや事故の防止にも効果的です。さらに、ワークライフバランスの改善は従業員満足度を高め、離職防止や採用力強化に寄与します。
企業側にとっては、働き方改革関連法に沿った取り組みとして社会的評価が向上します。過労による労災や健康問題の発生リスクを減らし、企業の損失防止にもつながるため、制度導入は生産性向上とリスクマネジメントの両面で大きな価値を持っています。
勤務間インターバル制度を設計する際のポイントは、企業の業務特性と従業員の働き方を踏まえた柔軟な仕組みづくりです。まず、
インターバル時間の設定が重要で、厚生労働省の推奨は11時間以上ですが、業種や勤務形態に応じて現実的な時間を検討します。
次に、
対象範囲の明確化です。全社員を対象とするのか、シフト勤務や夜勤者など特定の職種に限定するのかを決めます。また、
運用ルールの整備も不可欠で、インターバルを確保できない場合の代替措置(勤務調整や休暇付与)を定める必要があります。
さらに、
勤怠管理システムとの連携により、インターバル違反を自動検知できる仕組みを導入すると効果的です。最後に、従業員への周知と理解促進を図り、制度を形骸化させないための教育や定期的な運用状況の確認を行うことが成功の鍵となります。
勤務間インターバル制度を取りにくい業種もあると思いますが、就業規則や勤務体制を見直すなどをして導入を検討してみて下さい。また、十分なインターバルが取れない場合はその月に取れなかったインターバル分の休みを取るなど、特例を作る工夫が必要だと思います。